イケメン御曹司に独占されてます
滝川さんが隣にいた桜井さんを促すと、何度も大げさなくらいそうだと頷いてくれる。
「……まだ配属されて半年にも満たないようだし、頑張ってることは聞いている。今話したことを頭にしっかり入れて、集中するように」
「はい」
私に対しては寛容だった滝本さんの視線が、池永さんに移るなり急に厳しくなった。
「だけど秀明はそうはいかないよ。橋の材料に発注ミスがあれば、材料が無駄になるだけじゃ済まないことはよく分かっているはずだ。今回のこのミスは、一体どういう理由?」
滝川さんが池永さんのそばに歩み寄る。近くまで顔を近づけて、物凄く高圧的な視線で見つめている。
見ているだけでも泣きそうなくらい怖い滝川さんに、全く動ずることなく池永さんが視線を返した。
「……個人的な事情で、集中力を欠いていました」