イケメン御曹司に独占されてます
今日、衣裳室で七海子が選んでくれたドレスは薄いピンクの可憐なドレス。
膝丈のバランスがちょうど足を綺麗に見せてくれるらしく、その上いつもよりもかなり高いヒールの靴を履いているから更にその効果が出ていると、さっき七海子が褒めてくれたばかりだ。


『まだ蕾のバラをイメージしたドレスなんですよ』と衣裳室の人が言っていたとおり、タイトなトップから幾重にも重なったオーガンジーの薄い布が、スカートの控えめな膨らみを繊細なシルエットに仕立て上げていて、このくらいの華やかさならば私にもギリギリ挑戦できた。

それに比べて七海子のドレスは大輪の花を思わせる、とてもゴージャスなものだ。中身だってゴージャスなのだから、七海子は瞬く間にパーティの中心になった。
一緒にいる専務も、何だか嬉しそうだ。


長い髪を片側に流して、大人っぽく仕上げている七海子とは違って、私の髪は、ふんわりと巻かれた毛先を残したアップスタイルで、サイドの髪が踊るように散らされている。


わざと残した後れ毛が少し大胆すぎないかな、とさっき化粧室で心配になったけれど……。


「思ったより、色が白いんだな」


頭の中であれこれ心配する私をよそに、池永さんは全く思いもよらないことを口にした。
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