白いオレンジ


「陽向!?どうしたの?何か、忘れ物?」


嬉しさが溢れて、笑みが零れる。


「ののちゃんに、これ」


と、差し出されたのは、さっき行った服屋の紙袋だった。


「え…何…!?」

「開けてみて」


言われるまま袋から出すと、迷った末に買わなかったコートが出てきた。


「これ…!欲しかったやつ!何、どうしたの!?」


「ののちゃんに最近プレゼントとか、してないと思って、何かあげたいなーって思ってたんだよね」


「うそ…ありがとう。本当に、嬉しい」


「良かった」


陽向は、ずるい。


いつもこうやって、わたしが喜ぶことばかりする。


どんどんわたしは、陽向が好きになっていく。


「今日、泊まっていい?」


陽向の手が頬に触れた。


距離およそ10センチ。


「うん…」


と目を逸らした直後に、陽向がわたしにキスをした。


陽向の背中に手を回して

わたしは思い切り抱き着いた。


これがわたしの精いっぱいの愛情表現である。


< 15 / 27 >

この作品をシェア

pagetop