白いオレンジ
「陽向!?どうしたの?何か、忘れ物?」
嬉しさが溢れて、笑みが零れる。
「ののちゃんに、これ」
と、差し出されたのは、さっき行った服屋の紙袋だった。
「え…何…!?」
「開けてみて」
言われるまま袋から出すと、迷った末に買わなかったコートが出てきた。
「これ…!欲しかったやつ!何、どうしたの!?」
「ののちゃんに最近プレゼントとか、してないと思って、何かあげたいなーって思ってたんだよね」
「うそ…ありがとう。本当に、嬉しい」
「良かった」
陽向は、ずるい。
いつもこうやって、わたしが喜ぶことばかりする。
どんどんわたしは、陽向が好きになっていく。
「今日、泊まっていい?」
陽向の手が頬に触れた。
距離およそ10センチ。
「うん…」
と目を逸らした直後に、陽向がわたしにキスをした。
陽向の背中に手を回して
わたしは思い切り抱き着いた。
これがわたしの精いっぱいの愛情表現である。