白いオレンジ
「松本、最近陽向くんと仲良いよな」
「まあ隣の席だからね」
私の見ていたものに気付いたのだろうか。
朝河も陽向くんと野々村さんが話しているのを見ている。
「陽向くんってさ、彼女いないの?」
「松本、お前、惚れたのか?」
「そういうんじゃないよ。野々村さんと話してるの見て疑問に思っただけ」
美香ちゃんと付き合ってると言われても驚かないくらい親しいし、
彼女5人いるって言われても不思議じゃないくらい、いつも近くに違う女の子がいる。
「知らないよ。本人に聞けばいいじゃん」
「…そうだけどさ」
「でも噂だけど、他校に本命の女の子がいるって聞いたことある。
同じ女の子と歩いているのを見た人が何人かいるらしいね。
名前なんて言ったっけかな?確か…『ヒナミ』ちゃんとか、そんな名前」
別に陽向くんのことだから他校に親しい女の子がいても不思議じゃない。
でも火のないところに煙は立たないと言うし、噂になる何か理由があるのだろう。
「陽向くん、その子のことだけ『ヒナミ』って呼び捨てするんだって」
それなら、本命の女の子だと思うのも分かる。
陽向くんはどんなに親しい女の子、美香ちゃんですら、呼び捨てにはしない。