白いオレンジ
またいつものように陽向はわたしの部屋に来ていた。
去年は週1とかで陽向は泊まりに来た。
それが今では週の殆ど、泊まりに来ている。
逆に泊まりに来ない日は、何でだろうと勘ぐってしまうようになった。
ピロリン、
と陽向のスマホが鳴った。
陽向は今お風呂に行って行っていて、机の上にポツンと置いてあった。
珍しい…
陽向はお風呂に行く時も脱衣所まで持って行って、スマホを肌身離さない。
いけないと思いつつも、思わずスマホに手を伸ばした。
ロック画面にLINEの通知が表示されていた。
《奈々: 明日のバイトの後、うちに来ませんか?》
見てしまったことを、後悔した。
陽向は彼女を作らない。
その代わり、昔から数多くの女の子と関係を持っている。
彼氏持ちの女の子や、自分に告白してきた女の子には手を出さないという話は高校の時から有名だった。
だからわたしは1度も陽向に気持ちを伝えた事はない。
言葉さえ、言わなければ陽向は彼女のように自分を扱ってくれる。
それはぬるま湯に浸かっているように、心地の良い居場所だった。
本気で好きになれば、他の女の子の影を見て、苦しくなるのは当然だけれども。
わたしと同じ気持ちで陽向の側にいる女の子は何人、いるのだろう。