白いオレンジ
わたしをベッドに運んで、被さる陽向。
額に一度、優しいキスをした後、首筋に顔を埋めて、這う。
熱を持った舌が、下へと下りていく。
「陽向……すして…」
掠れたわたしの声は陽向に聞こえただろうか。
「分かってるよ。ののちゃんは、キスが好きなんだもんね」
笑った彼はわたしの唇に自分のを重ねた。
深くて、熱いキスだった。
ねっとりと、2人の舌が絡まる。
ゆっくり離れると2人の間を糸が繋いだ。
「好きだよ。ののちゃん」
そうわたしの上に乗って、笑う陽向は、
わたしの彼氏じゃない。
陽向の言葉は嘘だらけ。
もう本当と嘘の区別もつかない。
それでもわたしが陽向を拒むことはない。
ぬるま湯に一度浸かったわたしは、もうずっと抜け出せないでいる。
陽向が好きだ。
わたしがそれを口にしたことは一度もないけれど、
高校生の頃からずっと、
もう長い片想いをわたしは陽向にしている。