今宵、君の翼で


「ありがとうございます」



まさか四条さんがココアを入れてくれるとは思わなかった。


四条さんって見た目イカツイのに。


ココアって……似合わない。



「なに笑ってんだよ」



「ふふっ……すみません。なんか可愛いなって」



笑ってると、四条さんも柔らかく微笑んだ。


ドキッとしてしまい、慌ててココアを飲みこむ。


「四条さんって意外と優しいですよね……」


「意外とってなんだよ」


「すみません……」



だって初めて会ったときの印象がエロDVDだったし、見た目怖いし。



「落ち着いたみてーだな」


「あ……はい」


こんな風に気を遣ってくれるし、やっぱり優しくて良い人なんだと思う。


シホ先輩の元彼なのも納得できる。




「で……翼が犯人ってどういうこと?」



その言葉に私は息を止めた。



翼がひき逃げした犯人……




そんなこと、1ミリも考えたことなかった。



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