今宵、君の翼で
「信じません。翼はそういうことするような人じゃないです」
私は顔を上げた。
四条さんはそんな私を見て口元を緩めた。
「だよな……アイツ、アホだけどそんなことはしねぇ。絶対何かワケがあると思うんだよ」
「でも翼に直接聞いたって本当の事言ってくれないですよね……」
「俺、周りの奴らに聞いてみるわ。このままじゃ納得できねぇもん」
「ありがとうございます。あの……前に翼が言ってたんです、幹部の人たちに面倒見てもらってるって」
「あー……うん」
「もしかしたら何か関係あるのかなって……私、幹部の人達が良い人とは思えません」
四条さんがゆっくりと頷いた。
「あいつらは人間じゃねぇよ。翼がどんなことされてるかってことくらい俺でも気づいてたわ」
「四条さん……」
「心配すんな。翼が潔白だってこと、証明してやる」
その言葉はすごく心強かった。
四条さんがこんなに良い人だったなんて。
翼の事、本当に考えてくれている。