今宵、君の翼で
「『うん』って……それでいーの? 別れるつもりなの!?」
「そうじゃないけど……今は会えない状態で……」
「なんで!? 私のせい!?」
「え!? ち、違うよ!?」
陽菜は感情的になっていた。
こんな話するのは久しぶりで少し緊張してしまう。
「私……謝りたかった。美羽を裏切り者扱いにしちゃったこと……」
「ううんっあれは私が悪かったんだもん、陽菜、翼の事気に入ってたのに。裏切り者だって思われて当然だよ」
陽菜は首を振った。
「本当はね、最初から気づいてたんだ。翼が美羽を見ていたこと」
「え?」
「シホ先輩の家で初めて会った時、翼は私の隣で話してたけどさ、目は美羽を追っていたんだもん」
「そ、そうなの?」
全然気づかなかった。
あの時翼は陽菜といい感じになってるとばかり思っていたから。