今宵、君の翼で


「陽菜は今他の先輩の家にいるんだっけ?」



すると陽菜は苦笑いした。


「ううん……実はさ、家に戻ったんだ」


「マジ!?」


陽菜の話だと、あれから他の先輩の家にしばらくいたけどタチの悪い先輩だったみたいで、陽菜は自分の家に戻ることにした。


親はすごく怒っていたけど必死に謝って、許してもらったらしい。


その代わり、これから勉強を必死にやると約束したと。


正直、理解ある親で羨ましいと思った。


陽菜のお母さんに会った事あるけど、陽菜に似て明るくてサバサバした人だった。


話せばわかってくれるような、そんな人。



うちはそうもいかない。


真面目に話したって、聞いてくれないだろう。


私にはこれっぽっちも関心がないから。



「そういえばさ……陽菜、クスリやってたの?」


「えっ……知ってたんだ……」


翼が前に言ってたっけ。


陽菜はヤク中だって。


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