今宵、君の翼で
「はっ!?」
耳を疑った。
翼が私のことを気に入った?
「えっ……あの、陽菜は!? さっき部屋で……」
さっき聞こえた陽菜の息遣いを思い出し、思わず顔が赤くなる。
「あー、さっきコマとやってたよな。美羽も気づいてたんだ?」
コマとは、小松っていう昨夜一緒に遊んだメンバーのひとり。
シホ先輩とタメだったはず。
うそ……。てっきり相手は翼だと思っていた。
「陽菜といい感じだったんじゃ……」
「別にいい感じじゃねえし。それに陽菜はタイプじゃねーから。てかアイツネタ食ってんだろ」
「え?」
「ダチなのに気付かねぇの? アイツ薬中じゃね? 俺廃人を女にしたくねーわ」
全然気づかなかった。
この1ヶ月、ほとんど一緒にいたけど薬やってるような気配は全然なかった。
でも援交した後に会うと、やけにやつれて疲れ切った顔をしてたのが気になっていた。
「で、どーする? 付き合っとく?」
真面目な顔して言っている。
翼は本気なのかな……