今宵、君の翼で
「本当に翼が犯人ならさ、そんな軽い謝り方しなくない? だって美羽のお兄ちゃんをひき殺したんだよ!? なのに美羽の事突き放して、もう何も詮索すんなって感じじゃん……そんなの翼らしくないっていうか……やっぱりなんか裏がありそう」
「うん、だよね。詮索されたくない理由が私にもわからなくて。秘密にしなきゃいけないことがあるのかな……?」
「もしかしたら……」
陽菜は私の目を見つめた。
「もしかしたら翼は誰かをかばってるのかも」
「え……」
誰かを……?
てことは、翼は本当の犯人を知ってるの?
「あ、ごめん無責任な事言って……でも犯人が翼じゃないとしたら、それしか考えようがないよ」
「確かにそうだよね」
「でもそれならなんで翼はそいつのことかばっているかだよね」
誰なの?
翼を苦しめている犯人は……
翼の身近にいる人なのだろうか。