今宵、君の翼で


みんな黒のスーツに身を包んだ、厳つくて怖そうな人たち。



「佐久間美羽さんですね」



一人の男が私の近くに寄ってきてそう言った。


心臓がバクバクして足が動かなくなった。



「なんで私の名前?」



「一緒に来てください」


私の腕を引っ張ると、軽々と持ち上げられた。



「きゃあ! 何すんの!?」



別な男に手で口を塞がれた。


そのまま黒い車に無理やり乗せられると、車は勢いよく発進した。


車内では男が私の両手を後ろで縛っている。



「ど、どこに行くの!?」


「乱暴なことはしませんから、どうか大人しく言う事を聞いてください」


ネクタイのようなもので目隠しもされた。


こいつらなんなの!?


私の名前知ってるし、どうしてあのマンションで待ち構えていたの!?


恐怖で頭も混乱している。

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