今宵、君の翼で


だけど、今ここにいる父は凛々しくて、すごく冷たい顔をしていて怖いくらい。


「どうして……? ここはどこなの!?」



「ここは私の事務所だ。秘密の場所……ともいうかな」



「秘密の場所!?」



「お前が出て行ってから、しばらく後をつけさせてもらった」



「え!?」



嘘でしょ!? 全然気づかなかった。



「どこで誰と暮らし、どんな風に稼いでいたのかも知っている」



それって……援助交際してたこともバレていたの?



「そして誰と付き合っていたのかも」


「な、何がしたいの!? 私はどうせ出来損ないだし、いらないでしょ!? 放っておいてよ!」



「そうはいかないんだよ」


父の声が大きくなり、私を鋭い目つきで凄む。


こんな父は初めて見たかもしれない。


成績が悪かったり、夜遊びが見つかったときも母には怒られていたけど父はただ黙ってこちらを見ているだけだったから。


私には関心がないような目をしていた。



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