今宵、君の翼で
「柊木翼とは別れなさい」
「なんで!? どうして別れなきゃないの!?」
「あいつはダメだ、絶対……」
「別れない。私は翼とずっと一緒にいる! 親と縁を切ったって良い」
父が舌打ちした。
「あいつは豪壮を殺したんだぞ!?」
「え!?」
どうしてお父さんがそのことを……
「ずっと調べていたんだ。ひき逃げの犯人を」
「つ、翼はそんなことしない! ひき逃げなんか……」
「信じたくない気持ちもわかるが、あの日あいつを見たという証拠も出ている」
嘘でしょ……
証拠があるって……
本当に翼が!?
でも、でも……
「私は絶対に信じない」
私は父の前で仁王立ちにになり、父を睨み付けた。
しばらく沈黙が続いた後、父は項垂れた。
「お前まで……いなくならないでくれ」
「は? 今さらじゃん。ずっと私は孤独だったのに……お兄ちゃんの代わりなんて、なれるはずない!」