今宵、君の翼で
兄が伝えたかったこと
陽菜と仲直りした日から、陽菜の家にしばらくいさせてもらうことになった。
陽菜のお母さんには最初断られたけど、落ち着いたら親とちゃんと話し合うっていう約束をした。
マン喫の狭さにはもうウンザリだったから、本当にありがたくて。
一緒に説得してくれた陽菜にもすごく感謝した。
父と再会してから2日後の朝、突然翼から電話がきた。
今まで全然出てくれなかったのに……
少し緊張しながら通話ボタンを押す。
『美羽?』
久しぶりに聞く愛しい人の声。
胸がきゅーんとなって苦しくなる。
「翼……」
『電話出れなくてわりぃ……』
「ううん! 今どこにいるの!?」
『ダチんとこ。これから仕事行くんだけど……その前に美羽に言いたいことがあって』
「え?」
『昨日の夜、四条さんに色々聞いた。犯人が俺じゃないって証拠掴んだって……』
「そうだよ! ちゃんと証拠はあるんだよ! やっぱり翼じゃなかったんでしょ!?」