今宵、君の翼で
私はその後浅野さんと会って、いつも通りにホテルで過ごした。
援交してるときはいつも頭の中は無になっているのに、今日は翼のことでいっぱいだった。
彼のこと、何も知らないのにどうしてこんなに気になるんだろう。
大輝にだって告られたのに、なぜか翼のことばかり考えてしまう。
なにもない私のどこがいいんだろう。
そんなことを考えながら私は浅野さんの隣で眠った。
今日は朝方から浅野さんと会ったから、学校に行く気力がなかった。
休もうかな……
確か学力テストの日だったからダルいし、ちょうどよかったかも。
『ちょっとぉーまさか休むとは思わなかったんですけど』
陽菜が電話越しにため息をついた。
「ごめん! 浅野さんから急に連絡きてさっ」
『まっ、別にいーけどねぇ』
翼に送ってもらったことは気づいてないようでホッとした。
『てかさぁ、私翼にふられたっぽーい』
「そ、そうなの?」
『最初いい感じだったのにさぁ。ムカついたから見せしめにコマくんとしちゃったし』
「コマくんと付き合うの?」
『ううん。やっぱり翼のこと諦められないもん。あんなイケメン滅多にいないじゃん? あ、そーいえば聞いた話だと、翼ってPhoenixのメンバーなんだって!』