今宵、君の翼で
「お兄ちゃんが死ぬ前に私に書いてくれたものらしいんだけど、お母さんにも読んでほしい」
口に手をあてて涙をこらえながら読んでいる。
私はお母さんの隣に座って寄り添っていた。
「お兄ちゃんは殺されると感じていたみたいで……」
私がそう言って立ち上がった瞬間、お母さんがソファにバタンと倒れた。
え……
お母さんの顔が真っ青!
「か、梶原さんっ!」
そう叫ぶと梶原さんが飛んできた。
「貧血ですかね、最近奥様の顔色が良くなくて仕事も頻繁に休んでらして……」
「そうだったの!?」
「ええ、美羽さんの事も考えていたので疲れもたまっていたんでしょう」
それなのに……
私がこんな話をしたからショックで!?
「ど、どうしよう……私のせいだ」