今宵、君の翼で
しかし次の瞬間、お母さんはお腹を押さえながらうずくまった。
「お母さん⁉︎どこか痛いの⁉︎」
「え、え…ちょっとお腹が…」
ちょっとどころじゃない。お母さんの額にはたくさんの汗、そして顔色がますます悪くなってきている。
私は急いで梶原さんを呼んだ。
お母さんの意識も朦朧としてきたようで、私たちの呼び声にも応答しなくなってきた。
どうしちゃったの⁉︎
手の震えが止まらず、自分の心臓がうるさく鳴り響く。
救急車を呼んで父の病院に担ぎ込まれたが、そこでも意識はハッキリとしていなかった。
お父さん、今日病院にいるのかな…
でも一人で会いに行くのは怖かった。
お兄ちゃんの手紙を思い出して…
あの冷たい目も、もう見たくない。