今宵、君の翼で
「おいっ」
目を開けると翼の顔がアップだった。
「えっ!?」
「なんかうなされてたけど大丈夫?」
なんで翼がここにいるの?
シホ先輩は仕事に行ってて、部屋には私だけだったはず。
「いつのまに来てたの!?」
「んー、さっき」
キッチンでお湯を沸かして、カップラーメンに注いでいる。
今朝のことを思い出して、急にドキドキしてきた。
「翼って……タメだよね? 学校は?」
「行ってるわけねぇだろ。知り合いの車屋で働かしてもらってんだよ」
鼻歌を歌いながら私の目の前にもカップラーメンを置いた。
「食えば? 昼飯まだっしょ?」
「あ、うん……。翼は今日休みなの?」
「いや、休憩タイム。シホに電話したら美羽がひとりで部屋にいるって言うから」
わざわざ私に会うために来てくれたの?
トクントクンと胸が鳴る。