今宵、君の翼で

翼に会えなくなって1ヶ月が過ぎた頃、面会が許可された。


本当は近親者や保護者じゃないとダメみたいなんだけれど…翼の生活態度が真面目で評価も良かったため、10分だけならと、許しが出たらしい。


でもたった10分なんて。


話したいことを整理しとかないとあっという間に終わってしまいそう。


鑑別所の面会室は、普通の会議室のようなところだった。


留置所みたいに、ポツポツと穴が空いた板があるわけでもない。


翼を待っている間、すごく緊張していた。


震える手を、胸にあてて深呼吸をしていると、翼が職員に連れられて面会室に入ってきた。


翼は相変わらず綺麗な髪の色をしていたけど、長めだった髪の毛が短く切られていた。


これもなかなかかっこいいけど……


なんて、見とれてる場合じゃないよね。


私と目が合った翼はニコリと笑っていてホッとした。


どこかすっきりしてるような…そんな表情だった。


向かい側のパイプ椅子に座ると、「久しぶり」と言われた。


「ひ、久しぶり…」


話す事考えてきたのに、頭が真っ白になる。


１０分しかないんだから早く話さないと！