今宵、君の翼で
私は翌日、シホ先輩のアパートを訪ねた。
アパートから見る周りの風景が懐かしい。
初めて翼と会ったのもここだったから。
インターフォンを鳴らすと、すぐにドアが開かれた。
「こ、こんにちは!」
久しぶりなので緊張して声が裏返る。
シホ先輩はフッと笑うと、「あがって」と言ってくれた。
変わらない笑顔でほっとした。
先輩は私の事を恨んでいるのかと思っていたから。
私は懐かしいソファに座った。
「久々だね」
「はい…ご無沙汰してます…」
「なんか…会わなかった間、色々大変だったみたいじゃん。力になってやれなくてごめん」
私の目の前に飲み物を置くと、自分も目の前に座った。
「いいえ!なんとか解決できたので…それであの…四条さんのことだったんですけど…」
「あー。うん…ごめん、私美羽に謝らなきゃなかった」
「え?」
「ガキみたいなことしてごめん。ヤキモチ焼いて、美羽に八つ当たりして…」