今宵、君の翼で
「いえっ。私の方こそ無神経に四条さんに抱きついてしまって…でも、恋愛感情とかは一切ないですから!!それだけはハッキリ伝えておこうと思って」
身を乗り出して言うと、シホ先輩が笑った。
「うん。わかってる…陽菜にも後で聞いたんだよ。あの時の翼のこととか…美羽がどんな気持ちでいたのか考えたら、私なにやってんだろうって後悔したんだ。美羽にひどいこと言っちゃったね…本当にごめん」
「シホ先輩…ヤキモチって…まだ四条さんのことが好きなんですか?」
そう問いかけると、シホ先輩は煙草に火をつけた。
「んー…そうなのかもしんない。それまであまり考えないようにしてきたんだけどさ…あの時…美羽と抱き合ってる所みたら、なんつーか…胸が痛くなってさ」
「そのこと…四条さんに話してください!きっと四条さんも同じ気持ちだと思います!」
「美羽?」
「シホ先輩の事傷つけたって、すごい後悔してました…」
「うん…ありがとう…あいつが出てきたら…私も少し素直になってみようかな…」
「はいっ…」
笑顔で返すと、シホ先輩も笑っていた。