今宵、君の翼で
*****
夏休みに入ってからも、相変わらずバイトと勉強漬けの毎日を送っていた。
夏休み前の学力テストでは10番以内に入ることができ、先生たちも私の変化に驚いていた。
よく私の事をバカにしてきた先生も、蔑んだ目で見ることはなくなっていた。
バイトも軌道に乗り、楽しくなってきたころ。
コンビニのドアや窓を拭こうと、私はタオルを持って外へ出た。
むあっとした暑さが顔や体にまとわりつく。
この日は35度まで気温が上がると朝の天気予報が言っていた通り、猛暑日となった。
中と外ではすごい温度差。汗が次々と滴り落ちていく。
それでも私はサボることなく拭き続けた。
「佐久間さーん。変わるよ?」
中から出てきて私にそう言ったのは、同じ高校の村上隼也(むらかみしゅんや)。
同い年だけど、一度も同じクラスになったことがなくて今まで話したこともなかった。