今宵、君の翼で
私達はフェンスに寄りかかって座った。
ここなら人目も気にならない。
「待っててほしいって言ったけどさ…それじゃ美羽の事縛りつけてんなぁって後から思って。だって俺いつ出れるかわかんねぇのに…無責任だよな」
「そんなことない!私が待ちたかったんだもん…私は翼意外好きになれないよ…」
翼が私を自分の方へと引き寄せた。
「それ聞いて、今めっちゃホッとしてる」
「え…」
「情けねぇよなぁ…総長が。ああ…もう総長じゃねーか」
「翼…phoenixはどうなるの?」
「俺が捕まる前に、他のヤツに頭を任せた。俺は引退って感じになったんだわ。今保護観察中だしもうなんもできねぇ。したいとも思わねぇけどさ」
私の耳元で、翼の心臓の音が聞こえる。
温かくて、ここに翼がいるんだって改めて感じる。
「今日シホ先輩に聞いてたんだよ?翼はまだ出て来れないって…」
「あー、そう。昨日の時点ではまだ可能性も半分で。でも俺の担当の人が頑張ってくれてさ…」