今宵、君の翼で
「つ、翼!違うから!!ほら、同じバイト先の村上くん!!」
「は!?」
私の言葉に目を丸くさせた翼。
もう一度村上くんたちを見ている。
「彼氏さーん…マジこわいっすから…」
村上くんたちは苦笑いして後ずさりしている。
よっぽど怖かったんだろう。
「わ、わりぃ…マジごめん…ナンパかと」
「アハハ!イイっすよ!勘違いさせて申し訳ない!じゃあ佐久間さんたちも楽しんで!」
私達に手を振ると、村上くんたちは出店の方へと歩いて行った。
それと同時に翼はその場にしゃがみこんだ。
「翼!?」
「あーマジでかっこわりぃ…バイト先の奴かよ…どうりで見たことあると…」
「もう…」
「ダメだ…これからは家にいろ。俺が迎えに行くから」
「でも今日は花火間に合わないし」
「これからはそうする。じゃねーと、俺の心臓がもたねぇ」
そう言って私の手を掴んで歩き出した。