今宵、君の翼で
「でも付き合ったばっかでこんなこと言うのもなんだけどさ、アイツと付き合うのは大変だよ? 今までの女見てきたけどすぐに怖がっちゃってね」
「怖がる?」
「うちらの想像以上のことをしてるってこと。暴走族ってキチガイのやつらが多いから」
「はい……」
それは覚悟の上だった。
私にはまだわからないことだらけだけど、今信じれるのは翼のあのまっすぐな瞳だけ。
なぜか私はあの目に惹かれたんだ。
「でもまぁ……2人は絵になるよね。美男美女って感じで。美羽はかわいーから気をつけなよ? 幹部のやつらだって仲間でも女とったりするからさ」
「そうなんですか……」
その時、数台のバイクが私達のすぐ近くまでやってきた。
バリバリという音が耳に突き刺さって、思わず耳を塞ぎたくなる。
「あ、旦那じゃん」
シホ先輩が冷やかすように私の腕を突く。
バイクから降りてきたのは翼と大輝と、他に知らない男の人が数人。
翼は白い特攻服に身を包んでいて、なんだか別人みたい。