今宵、君の翼で
翼は笑顔で私の目の前までくると、隣にきてしゃがんだ。
そして「元気なくね?」と、私の顔を覗き込む。
なぜかすごくかっこよく見えて、直視できないんですけど。
数日前に会ったばかりなのに、ドキドキが止まらなくて戸惑う。
「元気……あるよ」
「ほんとかー?」
グシャグシャと私の頭をかき乱す。
それと同時に大輝がそばに寄ってきた。
「美羽~! 翼と付き合うとかナシじゃねー?」
少しふてくされたような顔で言う。
そうだ……大輝にもこの前告白っぽいのされてたんだった。
「ご、ごめん」
「謝んなくていーし。コイツは誰でもいーんだから」
翼が私の肩に腕を回した。
キスだってした仲なのに、これごときで心拍数が上がるなんて。
「誰でも良くねぇし! マジで美羽のこと狙ってたのによぉ」
「へっへー! ざんねぇーん!」
まるで小学生のようにふざけあってる。
こんな人達が本当に極悪卑劣なことしたりしてるのかな……