今宵、君の翼で
そういえば。大輝がこの前言っていた、『耐えられっかな』って何のことなんだろう。
総長の女としてやっていけるかってこと?
「ちょっとこっちこいよ」
翼が半端強引に私を立たせる。
「翼ぁ、美羽のこと優しく扱ってよー?」
シホ先輩が少し離れた場所からそう叫ぶと、翼はフッと鼻で笑った。
「みんなに美羽のこと紹介してーから」
肩を抱かれたまま、バイクの渦の中に入る。
正直、怖かった。踏み出す足が震えてた。
私たちが中心で立ち止まると、バイクも一斉に動きが止まった。
ヘッドライトが眩しすぎてみんなの顔を見ることはできない。
でも、隣にいる翼の横顔はよく見えた。
凛としてて、自信に満ち溢れているような、そんな顔をしている。
私のことを軽く紹介すると、みんな一斉にエンジンを吹かした。
何十台いるかわからない。
こんなに沢山の人をひとりでまとめてるんだ。
信用されていなきゃできないこと。
みんな翼を信じて、慕っているってことがよくわかる。