今宵、君の翼で
しかし私達は夜にこうやって街を徘徊している。
それにはワケがあって。
援助交際の相手を探しているからだ。
私も陽菜も、家出中だった。
陽菜は親と喧嘩してプチ家出中。
うちはお兄ちゃんが死んでから親は私に無関心だった。
家出しても何も連絡がない。
中学の時から両親とは喧嘩ばかりで、きっとその頃から私なんかいらないって思ってたのかも。
私がいてもいなくても、あの家は何も変わらないし。
医者の父に看護師の母。
2人はいつも忙しくて、厳しかった。
だから幼い頃の楽しい思い出は、ほとんどない。
そんな両親が私は嫌いだった。