今宵、君の翼で
「ご、ごめんっ」
「信じらんない……あんなに相談してたのに……心ん中で私のこと嘲笑ってたんでしょ!?」
「そんなことないっ」
本当は何度も言おうと思った。
電話で言おうか、メールで言おうか、やっぱり会って言おうか。
色々悩んでるうちに今日になってしまったんだ。
「ふざけんな!」
陽菜の力が弱まることはない。
「ちょっと陽菜! こんなとこでやめろって! みんな見てんだろ!?」
シホ先輩が止めに入ってくれた。
周りにいた子達がジロジロと見てくる。
ようやく陽菜は手を離してくれたが、私のことを睨んでいる。
「裏切り者っ」
そう小さく呟いたのが聞こえて、胸が痛くなった。
でも傷ついたのは陽菜の方で。
どうしてもっと早くに言わなかったんだろう。
「このことはあとでゆっくり話し合いなよ、美羽だって悩んでたんだろうし」
シホ先輩がフォローしてくれたけど、陽菜の表情は変わらなかった。