今宵、君の翼で
陽菜は無愛想にずっとスマホに見入っていた。
まるで話しかけるなって言われてるみたいで悲しくなる。
「あの……陽菜? 付き合ってること黙ってて本当にごめんね……?」
だけど思いっきりシカトされた。
しょうがないよね。今度また改めて謝るしかない。
ザッザッザッと足音が聞こえたので顔を上げると、シホ先輩と芽衣子さんがやってきた。
芽衣子さんは近くで見ると女の人なのに迫力があって怖くなる。
「あんたが美羽?」
「は、はいっ」
芽衣子さんはよく見ると黒髪に金色のメッシュが入っていた。
そしてすごい綺麗な顔をしている。
「翼の女って聞いたけど。やっぱ美人だね」
芽衣子さんの切れ長の目が優しく笑った。
女の私でもドキドキしちゃうくらい、ものすごいオーラがあった。
「てか今日はなんかあったの?あんたがPhoenixの集会にくるなんて」
シホ先輩がそう言うと、芽衣子さんはため息をついた。