今宵、君の翼で
裏切りの代償
浅野さんとは援助交際を始めた初日に街で出会った。
陽菜に誘われて軽い気持ちでやってみたけど、いざ男の人を目の前にしたら怖くなって逃げ出したくなった。
でも浅野さんはそんな私のことを見抜いていて。
すごく優しかった。
そう、浅野さんはどこかお兄ちゃんに似ていたんだ。
大人で、全てを包み込んでくれるよーな、そんな人。
「またこんな夜中に呼び出してごめんね?」
「ううん、大丈夫です」
私たちはいつものホテルに入った。
浅野さんがテーブルにキーを置いたところで話を切り出した。
「あの……浅野さん、話があります」
「話?」
「私との関係を終わりにしてくれませんか?」
私の言葉に、時が止まったように呆然と見つめてくる浅野さん。
「彼氏ができたので……もうこういうのやめようと思うんです。勝手な事言って本当にごめんなさい」
「そうか……彼氏ができちゃったんだね」
「はい。隠し事とか、もうしたくないので……」
「わかった。と、言いたいところだけど俺も諦めきれないな」