今宵、君の翼で

「え?」

「俺も本気だから。嫁さんとの離婚も考えてるくらい、本気だったから」


驚いた。浅野さんが離婚を考えてるなんて、想像もしなかった。


「出会った頃、嫁さんとあんまうまくいってなくて、最初はちょっとした浮気心で美羽ちゃんとしちゃったんだけどさ、君は俺の心んなかですぐに大きな存在になったんだよ」


私は驚いて言葉が見つからなかった。


「美羽ちゃんは今実家じゃなくて先輩と暮らしてるって言ってたよね? お金に困ってたから援交してるんでしょ?」

「はい……」


「彼氏は同い年かな? このことは知ってるの?」


「タメです。援交のことは知りません……」


「だよね。俺なら美羽ちゃんのこと、受け止めてあげられるよ。包容力だってある。でも彼はまだ若いしそんな力や覚悟もないんじゃない?」


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