今宵、君の翼で
陽菜はそばにあった少し大きめの荷物と、学校用のバッグを持ってたちあがった。
「陽菜!」
私が駆け寄っても無視して勢いよく出ていってしまった。
陽菜……ものすごく冷たい目をしていた。
話も聞いてくれないなんて、もう私のこと、許してくれないのかな……
力なく床にぺたんと座ると同時に、スマホが鳴った。
翼だ……
「はい」
『うわっテンションひくっ!』
「そう……?」
『あのさ、今日仕事終わったらそっち行っていい?』
「うん……いーけど、どーしたの?」
『別にどーもしねぇけど、美羽に会いたくなって』
「昨日会ったばっかじゃん」
『あんくらいじゃ足りねぇよ。いーから、学校終わったらまっすぐに帰ってこいよ?』
翼はストレートに想いをぶつけてくる。
それに少し戸惑ったりもするけど、やっぱり嬉しい。
援助交際してたってこと……翼には絶対言いたくない。
バレたらなんて言うだろう。
軽蔑されちゃうのかな……