今宵、君の翼で
それだってすごく辛いことなのに、今もこんなことされてるなんてっ…
「圭祐だろ、余計な事言ったの」
「うぅっ……ヒック……」
「泣くなよ……だから知られたくねぇのに……」
「翼っ……」
私は翼の背中の傷を撫でた。
「どうして……? どうして翼だけがこんなに辛い目にあわなきゃいけないの!?」
翼はどんなに辛くても、いつも笑顔でいてくれた。
私は何もわかっていなかったんだ。
「私、強くないけど……どうしたら翼の役に立てる!? 何かできないかな!? あっ……警察に相談してみるとか」
正面から、ぎゅっと強く抱きしめられた。
「んなことしたら、Phoenixのやつらまで捕まっちまう」
「でも……これじゃずっとっ」
「いんだよ……美羽がこうやって俺のために泣いてくれただけで、俺は救われる」
すぐ目の前にある翼の瞳が潤んでいるようにも見えた。