今宵、君の翼で
「なんで……なんでなの? 私、なんか傷つけること言った? あ……やっぱりあのお墓参りの時!?」
わけがわからなくて混乱する。
翼の言ってることがわからない。
「墓参りなんて関係ねぇ、俺がお前に飽きたってだけ」
「嘘……絶対嘘! この前までそんな事ひと言も!」
翼の腕を掴もうとしたら拒まれた。
「うぜぇ!」
跳ね除けられた手がジンジンして痛い。
「つ、翼……」
「もう話しかけんな」
あんな目一度も見たことがない。
突き放すような、冷たい目……
背を向けて歩き出した。
「や、やだよ……翼ー! やだよぉ!」
翼の後をフラフラと追いかけていくと、周りのみんなが何事かと振り返って見てきた。
みっともなくたっていい。
翼がいなくなったら……私はどうすればいいの!?
泣きながら翼の後を追った。
でも一度も振り返ることはなくて。