今宵、君の翼で
翼のバイクのところまで私は泣きながらついて行った。
そこにはさっきの女の子が待っていて。
私の顔を見て驚いている。
「いくか」
「え、ちょっと翼……この子すごい泣いてるけど」
「ほっとけ」
翼は女の子にヘルメットをかぶせた。
それ……私のなのに。
私のヘルメットなのに!
「つ……ばさぁ……」
翼の腕にすがると、思いっきり跳ね除けられ、私は地面に倒れた。
すりむいたのか腕や足が痛い。
「うぜーっつってんだろ! いい加減にしろよ!」
「おいっ……やり過ぎじゃね!?」
近くにいた男の子がバイクから降りて私を起こしてくれた。
「あー。そいつどっかに連れてって。目障り」
翼はそう言うとエンジンを思いっきりふかして行ってしまった。
私の事は見向きもせずに。
「立てる……?」
「だいじょぉ……ぶです……」