今宵、君の翼で
「ごめんね、なんかアイツ今日荒れてて……変なんだよ。美羽ちゃんのことこんな扱いするなんて俺らも信じられなくて……」
男の子は申し訳なさそうにそう言うとエンジンをふかして行ってしまった。
やっぱり、変なんだ。
なにかあったに違いない。
じゃないとあんなことしないもん……
あんな……
私の事うざいって……冷たい目で見たりなんか……
「ふっ……うっ……うう……」
地面にいくつもの涙がこぼれ落ちていた。
「バカだなーほんと」
その時、私の目の前に影ができた。
多分この影は。
見上げると四条さんが仁王立ちでこちらを見下ろしている。
「バカじゃ……ありません」
「バカだよ。バカすぎて放っとけねー」
しゃがんで私の頭を撫でた。
「放っといてください」
「こんな美人放っとけるわけねーだろ」