今宵、君の翼で
そんなはずはない。
だって笑顔がひきつってるから。
いつものシホ先輩の笑顔じゃなくて、胸が痛くなった。
バカだ私……よりにもよってなんでシホ先輩の元彼に……!
「そんな顔しないでよ」
私が黙りこくっているとシホ先輩がふっと悲しそうに笑った。
「シホ先輩……」
「でも悠一郎のあんな顔初めて見たわ。美羽のこと気に入ってんだね……まぁあんた美人だから当たりまえか」
「あの……違います! 私、四条さんとはなにも……」
ドキッとした。
私のことを見るシホ先輩の目つきが冷たくて。
一気に突き放された気分になった。
「私、美羽の事信じてた。芽衣子にあんたのこと色々言われてたけど、それでも美羽は翼のことを本気だと思ってたから……」
「本気ですよ!?」
「悪いけど、さっきの行為はそんな風には見えなかったな」
確かに嫌だったら四条さんから無理やり離れることはできた。
それなのに四条さんの胸で泣いてしまってた事は事実。