今宵、君の翼で


言い訳しても無駄だと思った。


「ごめんなさい……」



「私に謝んないでよ……」



陽菜に続いてシホ先輩も傷つけてしまったんだ。


私ってなんでこうなんだろう。


こんな自分が嫌だ。


しばらく沈黙が続いた後、シホ先輩はため息をついた。



「翼と悠一郎で悩んでんなら、私はもうこれ以上美羽の相談相手にはなれない」


「えっ!?」



「一緒に住むとかもう無理だし……家出てってくんないかなぁ?」


「シホ先輩!?」


シホ先輩は本気で怒ってる。


翼と四条さんを両天秤にかけてると思ってるみたい。


そう思われても仕方ないことをしてしまったんだ。


何を言っても言い訳にしか聞こえないよね……



「わかりました……」


「明日荷物まとめて出てってくれる?」


私のことを見ようともしてくれない。


完全に嫌われたんだ……


シホ先輩は芽衣子さんに私の事を色々聞いたはず。


それでも私を信じて温かく見守っててくれていたのに。


胸がジクジク痛み出す。


< 99 / 230 >

この作品をシェア

pagetop