Heaven~第ニ章~
休憩が終わり後少しでバイトも終わる。
それを知っていたとは思わないけど、タイミングが良すぎる。


「すみません」と私に声をかけて来たのは、幼さが残る私より少し背の高い男の子だった。


「はい?」

「愛川椿さんですよね」


始めて聞くその声に、
始めて見るその姿に、
涙が出そうになったのはなぜだろう。


「そうだけど……」


その答えは彼が教えてくれた。


「始めまして、諏訪健と言います」

「諏訪、健……君?」

「はい。桐谷学の弟です」


学の弟。
その存在さえ私には分からなかった。
けど、苗字の違う弟と名乗る少年は違っていた。


「兄から椿さんの話は聞いてました」


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