Heaven~第ニ章~
「学の話って?」

「僕が知らない兄の話を」

「健君が知らない学のこと?」

「はい。椿さんと居る時の兄はどんな人でしたか?」


健君の本当の気持ちが分かっていれば、もっと言葉を選んでいたかもしれなかった。


「私と居るときは……良く笑ってたよ。つまんないことでも笑ってたから、最初はウザかったんだけど、今は、笑っていてくれて良かったと思うんだよね。学を思い出す時は何時も笑った顔だからさ……」

「……」

「それと、学は何時も私のために優しい嘘を付いてくれてた。きっと健君の前での学と変わりないと思うよ。私も健君みたいに素直になれてたらって……それだけ後悔してる」


健君は俯いていて何も話さなかった。
ただ、私の話を聞いているだけ。


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