Heaven~第ニ章~
「桐谷が死んだなら俺の出番かと思ってさ」

「は?」

「俺があの時、久辺に言ったこと覚えてる?」

「……覚えてるけど、」

「久辺に椿姫の気持ちは満たせないよ。椿姫だって分かるでしょ?あいつは愛されてるからね……例え両親とは血が繋がってなくても、ちゃんと愛されてる。そんな奴に椿姫の気持ちは満たせない」

「……」

「だから俺の出番」

「何言ってんの」


男は私の前で上着を抜き、私に背中を向けた。

そこには二度と消えない古いあざ。
あの日"愛の証"と言っていたあざ。


「椿姫も見せてよ」


クルッと私の方を真っすぐ見つめる。


「椿姫の"愛の証"をさ……」


< 149 / 231 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop