Heaven~第ニ章~
「始めまして、愛川椿です」


夜の世界で培われた笑顔に立ち振る舞い。
好かれるとは思ってないけど、嫌われない自信はある。


「嵐さんにはお世話になってますので、ご挨拶をと思いまして」


頭を下げると「君のようなお嬢さんに、わざわざ挨拶してもらえるような立場じゃないよ」とヤンワリと線引きされた。


「嵐さんのお爺様じゃないんですか?」

「そうだが?」

「それなら、挨拶する必要あるじゃないですか。お世話になっている方の身内の方がいらっしゃるのに」


私が嵐に視線を向けると、口元を手で隠し私から視線をそらしている。
そのそらされている瞳が笑っていた。


「お久しぶりです」

「おっ、獅朗」


嵐のお爺様の瞳が変わる。
まるで本当の孫を見るような優しい瞳。
きっと獅朗のことを気にいってるんだ。


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