先生に、あげる。


「咲織は、いつも山下さんのことを話してます。
とても良い人だって。
だから、きっとこの話をしたら、試験の勉強にも支障が出るんじゃないかって、不安だったみたいで。
でも、私は話した方がいいって思ったんです。
その…、あの…。」


彼女は、何度も頭を振った。

長い黒髪のポニーテールが揺れる。

僕は黙って聞いた。
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