先生に、あげる。


「話すのが遅くなってごめんなさい。
二人のこと考えたら、私も怖くて。」


僕の目からは大粒の涙が次々と溢れていた。


「咲織…、あの、医務室ですか?」


僕は頷く。


「行ってあげて下さい。
咲織のことだから、山下さんが来る前に帰ってしまうと思います。
病気のことがバレないように。」


僕は立ち上がると、ありがとうとだけ呟くと、コーヒー代を払って、カフェを出た。
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