先生に、あげる。


僕は咲織を抱きしめた。

震える肩から、前よりも痩せていることが嫌でも感じられる。


「広瀬さんから、全部聞いたよ?」


咲織はそれを聞くと、抱きしめる力を強くした。


「僕はずっと咲織の側にいる。
二人で、乗り越えよう。」


僕も、咲織を抱きしめる手に、力を込めた。


決して、決して離れないように。
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