先生に、あげる。



病室に入ると、咲織は、ぐっすり眠っていた。

隣にはご両親もいる。


「失礼します。」


僕は頭を下げて病室に入った。


「あらあら、徹さん。お疲れ様。」

「いつも、本当にありがとう。」


二人は口々に言った。

目には涙が溜まっていた。


僕もまた、涙で瞳が熱くなった。


日に日に弱っていく咲織の姿が、とても辛かったから。
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