先生に、あげる。



「お前…もしかして、ずっと待ってたのか?」


「まさか!私も今終わったところなんです。」


咲織は明るく言ったが、真っ赤に染まった頬と、寒そうに震える小さな手を見ると、すぐに嘘だと気づいた。




その時、咲織はマフラーを巻いていなかった。

僕は少し笑いながら、



「お前、マフラーも持ってないのか。」


そういって、自分の付けていたマフラーを外して、咲織の首元に巻いた。
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